スカーレット127話の無料動画と見逃し放送配信情報! 喜美子 信作の頼みを聞く

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昭和58年(1983)8月。喜美子が八郎に新しい関係を築こうと言ってから数か月が過ぎた。喜美子と八郎、そして息子の武志は数か月に一回
程度、食卓を囲むようになっていた。喜美子はお金や時間にさほど追われることなく 穏やかな生活の中にいた。

ある日、喜美子の工房に信作が部下の鳥居と一緒にやってきた。陶芸教室をしてほしいという。訳を聞いてみると、信作が企画した「信楽PR大作戦」で陶芸教室をやることになったのだが、教室をできなくなったところがあり、喜美子に代わりに陶芸教室をやってほしいということだった。

●川原家・母屋

喜美子、八郎、武志の三人で食卓を囲んでいる。

武志「そうめん?」

喜美子「そやねん。サニーの新メニューに出し言うてな」

武志「カフェでそうめんて」

喜美子「ほんまに出すんやったら 工夫せんと」

武志「あっ 流しそうめん!」

八郎「はっ?」

喜美子「カフェで!? 流しそうめん!?」

武志「何で?」

喜美子「おかしいやん。よう考えてみ どっから流すねん。誰が流すねん。大変やん そんなん」

武志「何とでもなるやん そんなん…。竹切って こうやってやったら…」

八郎「何で カフェでそうめん」

武志「何でよ」

八郎「もうええ もうええ。はい 食べるで」

3人「頂きます」

武志「よし 一本一本食うたろ」

八郎「もう やめえ もう」

喜美子「アホやなあ。アホは変わらんなあ」

八郎「何をしてんねん」

武志「う~ん!シイタケがええな これ」

喜美子「味せえへんやな?」

食事が終わって、八郎と武志が玄関を出る。

八郎「ほなな」

喜美子「うん」

武志「またな」

喜美子「あっ スイカ出すの忘れた。持ってく?」

武志「いらん いらん」

八郎「また」

喜美子「うん」

武志「またな」

喜美子「気ぃ付けてな」

武志「うん」

信作から電話がかかってくる。

喜美子「おう 信作 おはよう。何? 信楽ピーアール?」

●「かわはら工房」

鳥居「失礼しますぅ。いはりません。帰りましょ」

信作」「何でや」

鳥居「あかんのですか」

信作「あかんに決まってるやろ」

鳥居「ほやけど いはりませんよ?」

信作「いるて。母屋にいるんやろ。もう来る来る。入って待っとこ」

鳥居「ほんまに頼むんですか?」

信作「まだ聞くわ お前」

鳥居「ほやかて…。あっ これですよね? 何でしたっけ?」

信作の部下の鳥居は陶芸作品の価値が全くわからない。

信作「自然」。

鳥居「あ~自然釉ね」

信作「独特の色合いやで」

鳥居「あ~独特の色合いですか」

信作「おう 唯一無二の作品や」

鳥居「焼き物は何でもそうちゃいますのん?」

信作「アホ! よう見てみぃ」

鳥居「地味やなあ… よう高い値段で売れますねえ」

信作「お…お前… そういうこと 絶対 本人の前で言うなよ」

鳥居「現物見てもピンときいひん。こんなんの どこがええんやろう」

信作「お前が分からんだけや」

鳥居「ほな 課長は分かるんですか? これのどこがどうええのか言うて下さい。よさを教えて下さい」

信作「今日は仕事で来たんやで?」

鳥居「仕事やったら ええも悪いも考えへんのですか」

信作「会議で決まったやろ 川原喜美子先生に頼むいうて」

鳥居「黒川先生んとこの息子さんがよかったですぅ。賞も取らはって これからのお人やし」

信作「ほやから あそこは黒川先生は『息子にはやらせへん』言わはったんや。断られたんや。しゃあないやろが ここに頼むしか」

鳥居「こんなんて いくらぐらいするんですかね」

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スカーレット127話の見どころ・感想

先週のまとめ動画はこちらです。

 

川原喜美子のモデルとなった神山清子とはどんな人?

前回のお話はこちら

スカーレットNHK公式サイトはこちら

信楽PR大作戦

●かわはら工房

喜美子が工房にお茶をもってはいってくる。

喜美子「冷たいの持ってきたでえ 飲みぃ?」

信作「おう」

喜美子「今日は 何?」

信作「おう 悪いな 忙しいとこ。あの うちの役場の」

鳥居「観光課の鳥居です」

喜美子「川原です。どうぞ」

鳥居「お気遣いありがとうございます」

喜美子「信楽ピーアール大作戦?」

信作「おう 俺の企画や」

喜美子「何や 昔もあったなあ。う~ん… あっ!」

喜美子と信作「お見合い大作戦」

喜美子「大作戦好っきやなあ」

鳥居「焼き物の町やいうん売りにして 町全体をもり立てていこういうことで この夏からさまざまな企画を始めてるんです。その一つに観光客向けの『一日陶芸体験教室』いうんを開いてます」

喜美子「チラシは見ました」

信作「おっ 見たか」

喜美子「サニーに貼ってあるやん」

信作「おう。ほな 話 早いわ」

鳥居「こちらがチラシです」

信作「もう見たて」

鳥居「一応」

喜美子「ありがとう」

鳥居「5軒の窯元さんに協力頂いてます」

信作「でっかいとこやと 永山さんと丸熊さん 照子んとこな。ほんで南さんに小津さんに神林さんや。神林さんがな 何や 水道管がやられたとかで 工房が水浸しになてってしもうたんやて」

喜美子「大変やん 直ったん?」

信作「直ったは直ったんやけど 体験教室どころやない 急にやれへん言われて 困ってしもうて… なあ」

鳥居「はい。 予約はもう受けてしもたんで」

喜美子 一日陶芸体験教室の仕事を受ける

信作「ほんでな 会議でな どないしよういうて話した結果 ここに頼もういうことになって」

喜美子「ああ… いつ?」

信作「明日」

喜美子「明日!?」

信作「どうか 引き受けてくれんやろか。お願いします」

鳥居「お願いします」

喜美子「分かりました。うちでよかったら やらせてもらいます」「よろしゅうお願いします」

鳥居「あ… はい」

喜美子「1時間から2時間の体験? えらい大ざっぱやな」

信作「教える側に任せてんねん」

喜美子「ほやけど 2時間で作品を完成させるんは無理やで?」

信作「そんな本格的にやらんでええんや」

喜美子「ほやけど 本焼きするんやろ?」

信作「本焼きしたんを 後で郵送で送ってあげんねん」

喜美子「ああ」 「そもそも 何人 来やるん?」

信作「予約は6人」

喜美子「そんなに?」

信作「神林さんとこがな えらい人気でな。かわいらしい色したティーカップが出来る いうて」「窯元 それぞれを紹介した案内チラシがあってな 神林さんはそこに鮮やかなティーカップの写真 載っけてやんねん」「観光客は女性がほとんどや。それ見て『あ~かわいい。こんなん作ってみたい』思うんやろ」

喜美子「ふ~ん そうか・・・」

信作「あ… 喜美子は急やし 案内チラシの代わりに 何か見本でもあったらええんやけどな」

喜美子「そやなあ 見本置いた方がええなあ」 「ティーカップは・・・」

喜美子「ティーカップやのうてええんや お前は。皿でも 茶わんでも」

喜美子「あ~ 皿 ほな 絵付け小皿でもええかな。絵付け小皿やったら かわいらしいのあるわ。喜んでもらえそうなんが こっちに」

信作「喜美子」

喜美子「うん?」

信作「そういうのはええねん」

喜美子「えっ?」

信作「来たお客さんに 自然釉で一躍有名になった女性陶芸家 川原喜美子先生を紹介しよう いうことになったんやから」「対抗せんでええ。大体 ほかんとこは 喜美子みたいに一点物の作品作ってるんちゃうんやし」

喜美子「ほやけど 来てもらうからには 喜んでもらいたい」

信作「ええ。無理して こびんでええ」

喜美子「こびる?」

信作「お客さんのご機嫌うかがうようなこと」

喜美子「喜んでもらいたい思うんが こびるいうことなんやったら うちはいくらでもこびるで。仕事として引き受けたからにはな?」

信作「説明が足らんかった」「この企画な 地元に貢献してもらおういうて 頭下げてやってもろうてんねん。ほやから謝礼程度しか出せへん」

喜美子「ほやけど 仕事は仕事やん。仕事やろ?」

信作「おう そうや 仕事や 仕事やなかったら こんなんせん」

喜美子「こんなん?」

喜美子「おう。こんなん 喜美子に よう頼まん」

喜美子「何で? どういうこと?」

信作「黒川先生は 息子にはやらせへん言うてた。アーティストや言うて」

喜美子「アーティスト」

信作「芸術家」

喜美子「ああ…。えっ 芸術家には 体験教室やらせへんの?」

信作「やらせへんちゅうか… 分からへん人も来るやろ 鳥居みたいな」「さっき聞いてたんやろ。『地味やなあ こんなんの何がええんやろ』言うて。ああやって 簡単にひどいこと言うやつも中にはいるで」「したり顔で 批判始めるんもいる。喜美子の心が伝わらへん人が来るんや」「撤回しようか? なっ やっぱり やめよか」「俺が頭下げて回れば済む話や。やっぱり断ろか。なっ」

喜美子「一旦 引き受けたもんを断るわけないやろ」「ほんで うちのこと 何や思うてんねん」「信作からの頼み事 断るわけないやろ」 「あ…ろくろ 4つお願いしてもええ? 2つしかないわ」

信作「ああ…分かった 4つな」

武志の亜鉛決勝釉の取り組み

●信楽窯業研究所・研修室

<ナレーション>

武志はこの夏 ずっと亜鉛結晶釉に取り組んでました。

(掛井先生との回想シーン)

掛井先生「亜鉛結晶釉をやりたい?」

武志「はい。うまいことコントロールして 亜鉛結晶をデザイン化させたいんです」

掛井先生「よっぽど気に入ったんやな」

武志「俺の熱い瞬間です」

掛井先生「熱い瞬間?」

武志「はい。亜鉛結晶が雪の結晶みたいに見えて… 器に雪を降らせたいって思いました」

掛井先生「雪を降らせる」

武志「はい。挑戦してみます」

掛井先生「うん」

(回想おわり)

<ナレーション>

まずは亜鉛結晶の再現を目指します。結晶を出したい所に亜鉛結晶の核を付着させます。

掛井先生「おっきなってきたなあ」

武志「はい」

<ナレーション>

結晶が出たところで 下地を変えることにしました。下地の釉薬の調合割合を調整しながら 試し焼きを繰り返します。釉薬が溶け過ぎて思ったとおりの結晶がなかなか出なかったこともありましたが…。

焼く温度と冷ます時間をコントロールすることで 大きな結晶を出せるようになりました。

武志と真奈

武志が研修室で作業していると、石井杏奈が飲み物を持ってやってきた。
武志が大介とうまくいっているのかと杏奈に聞くと、杏奈は怒り出した。

真奈が研修室にはいってくる。 パックの飲み物を武志に手渡す。

真奈「はい」

武志「ああ ありがとう」

真奈「毎日 根詰めてますね 亜鉛… 何とか」

武志「ああ 亜鉛結晶」

真奈「そう。うまいこといってるん?」

武志「石井さんも うまいこといってるん?」

真奈「えっ?」

武志「大輔とこの夏から つくあうことになったんのやろ?」「大輔 昔から憧れとったらしいで」「琵琶湖タワー一緒に行ったって聞いた。うまいこといってるんや」

真奈「うまくいってても いってなくても 川原君には言いません! 絶対 言いません!」「さいなら」「それ うまくいったら 次世代展 応募するん?」

武志「あ… まあ そのつもりやけど」

真奈「ほな それはそれで しっかり頑張って下さい」「さいなら」

武志「う~ん」

 武志は伸びをして、席を立つと、一瞬立ちくらむ。

  「はあ…。はあ…。」

●「かわはら工房」

<ナレーション>

明日はどんな人が来るんやろか。想像しながら見本を作る喜美子です。

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