エール第33話の無料動画と見逃し放送配信情報! 裕一 久志との再会

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裕一は、木枯に連れられてカフェー「パピヨン」に行った。

木枯は、大衆を知るための取材という。

そして女給の口紅をYシャツにつけたまま帰宅してしまい、それを見た音と大喧嘩になる。

仲直りできないまま、音はプリンス久志に声楽の相談を喫茶店「バンブー」でしていた。

裕一が入ってきて、

久志「ユウイチ…。古山…裕一?」
  「古山?」
  「いや 僕だよ…。佐藤久志」

裕一「ああっ…久志!」
  「久志! えっ!?」

プリンスは裕一の小学校時代の友人、佐藤久志だった。

ふたりは小学校以来の再会をする。

●コロンブスレコード・文藝部

裕一「廿日市さんは?」

杉山「本日は木枯さんの録音に立ち合っています」

裕一「えっ?」

杉山「木枯さんの曲がレコードになるんです」

タイトルロール

●コロンブスレコード・録音室

木枯「えっ?」
  「これ A面で採用してもらえるって話でしたよね?」

廿日市「いや~」
   「やっぱ B面でしょう」

木枯「いや 何でですか」
  「話が違うじゃないですか」

廿日市「何か地味だし…」
   「Bでいこうよ」
   
廿日市「よろしく」

木枯「いや…」

廿日市が部屋を出ていく。

●コロンブスレコード・作曲家ルーム

裕一が作曲家ルームに入ろうとすると、
廊下の反対側から、木枯が浮かない顔で歩いてきた。

裕一「あっ…」
  
裕一「お…おめでとう」
  「あの…曲 採用されたって?」

木枯「あっ 悪い」
  「言いそびれてた」

裕一「ううん…」
  「いや よかったね!」
  
裕一「いや~先 越されちったな…」

木枯「まあでも…」
  「思うようにはいかないよ」

裕一「そうなの?」

木枯「なあ…」

裕一「うん?」

木枯「今夜 空いてる?」

裕一「うん?」

木枯「今夜」

裕一「うん…」

●カフェー「パピヨン」

裕一「『カフェー』って書いてるよ?」

木枯「大丈夫」

裕一「本当に?」
  
裕一「ちょっ…」
  「えっ? えっ?」

ママ「あら 木枯さん」

木枯「あ~どうも」

ママ「今夜はお早いんですね」
  
ママ「愛子ちゃん」

愛子「はい」

ママ「ご案内して」

愛子「はい」

裕一「帰った方がいい…」

愛子「あら 木枯さん」

木枯「こんばんは」

愛子「こちらでどうぞ」
  「こんばんは」

裕一「こ…こんばんは…」

エミ子「はいはい」

愛子「こちらの方も作曲家さん?」

裕一「えっ?」

愛子「すごいですね~」

裕一「いやいや…」
  「僕は全然ですよ」

エミ子「あら?緊張してる?」
   「かわいい~」

愛子「ちょっと おやめなさいよ」
  「エミ子ちゃん」

裕一「ちょっと…」
  
裕一「ねえ 木枯君さ」
  「こういうとこって高いんじゃないの?」

木枯「いいんだよ」
  「取材費だから」

裕一「しゅ…取材費?」

木枯「大衆が求める歌を作るには まず大衆を知らなきゃ始まらない」

裕一「ああ…」

木枯「何か生々しいだろ?」
  「ここ」

木枯「見えると自然と音が浮かんで 書きたい衝動が湧いてくる」

愛子「木枯さんのメロディーって」
  「何か心の古傷にそっと寄り添ってくれるような気がするんですよね」

エミ子「そう それ!」
   「分かる~!」

ママ「木枯さん」

木枯「はう」

ママ「今日も一曲 歌って下さらない?」

ママがギターを持ってくる。

愛子「聴きた~い!」

(拍手)

木枯「それじゃあ…」

木枯はギターを弾きながら歌い始める。

木枯「まぼろしの 陰を慕いて」「雨に日に」「月にやるせぬ わが想い」
  「つつめば燃ゆる 胸の火に」「身は焦れつつ しのびなく」

●古山家・玄関前

裕一はパピヨンからの帰り道、ひとりで歩いている。

裕一「あんな単純なメロディーなのに…何で心打つんだろう?」 

裕一「ただいま」

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エール第33話の見どころ・感想

古山裕一のモデルとなった古関裕而とはどんな人?

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前回のお話はこちら

エールNHK公式サイトはこちら

裕一と音の大喧嘩

●古山家・居間

裕一が居間の前を通ると、音が立っていた。

裕一「わっ!」

音「お帰りなさい」
 「遅かったわね」

裕一「あっ…起きてたんだ」

音「うん」

裕一「うん…」
  「そっかそっか…」

音「どしたの?」

裕一「えっ?」
  
裕一「いやいや…」
  「寝てっと思ったから」

音「フフ…変なの」
 「ごはんは?」

裕一「ああ…食べてきた」

音「そっか」
 「じゃあ 今 お茶いれるね」

裕一「うん」
  「ありがとう」

音は裕一から受け取った帽子とカバンのにおいをかぐ。

音「うん?」
 
音「何か…裕一さん」
 「変なにおいする」

裕一「えっ?」
  「えっ えっ?」

音は裕一に近づき、スーツのにおいをかぐ。

音「何か…何か…」

裕一「何?」
  「うん?うん?」

音「甘い」
 「何? これ」

裕一「こ…こ こ…香辛料」

音「香辛料?」

裕一「そう。あのね」
  「今日ね…木枯が連れてってくれた洋食屋でね」
  「変わった香辛料使ったね 料理出てきたんだよ」
  「それがね」
  「あの…甘いにおいのする…し…塩だって」

音「塩なのに甘いの?」

裕一「そうなの!」
  「何かね おいしいお魚と うまく」
  
裕一「こう…うまかったな~」
  「あれな」

音「へえ~」
 「面白いね」

裕一「うん!

音「へえ~」
 「よいしょ…」
 
音「あっ そうだ」
 「りんごあるけど食べる?」

音はスーツを脱いだワイシャツ姿の裕一の右腕に口紅マークが
あるのを見つけた。

裕一「うん?」
  「あっ!」
  
裕一「こ…これ…これは…何でもない…何でもない!」
  「そうこれは何でもない!」
  「何でもないから…」

音は裕一の腕をつかんだ。

音「何でもないっちゅうことないだろ!?」

裕一「お…落ち着こう」
  「音。落ち着こう」
  
裕一「あの…落ち着いて」
  「あの 誤解 誤解を招くといけないから…」

音「落ち着いとらんのは あなたでしょ?」
 
裕一「誤解って何?」

裕一「いや あの…」

音は裕一のシャツの口紅マークをマジマジと確認する。

音「女!」

裕一「ち…違う違う」
  「違う違う…。音」
  「音 落ち着いて」
  
裕一「聞いて 聞いて 聞いて」
  「ねっ?聞いて 聞いて」
  「これはね 木枯がね カフェーに行くっていうから…」

音「カフェーでやる必要ないでしょ!?」

裕一「あっ…ちゃんと話聞いてよ!」
  「木枯がね…」

音「木枯さんの話はどうでもいいわ!」
 「人は人」
 「あなたは自分のやり方でやればいいでしょう!?」

裕一「ぐう~!」
  
裕一「そんなこと言われなくたって分かってる!」
  「僕だって…ど…努力してんだから!」 

音「だったらそれでいいじゃん」
 「カフェーなんか ついていかんくたって!」

裕一「だから…!」

音「ああ!?」

裕一「ん~…」
  「ん~…」
 
裕一「あ~…うん もういい」

音「あっ 開き直った」

裕一「君がそんなわからず屋だったとは」
  「お…思わなかった!」

音「はあ!?」
 「えっ」
 
音「何? 私が悪いの!?」

裕一「あ~疲れた!」
  
裕一「もう寝よう」
  「はあ寝よう」

音「はあ~!?」

裕一「ふい~」

音「あんたに布団はないわ!」

朝、食卓で音は裕一の茶碗に少しだけご飯をついだ。

音「頂きます」

裕一は席を立った。
 
音「フッ」

(鼻歌)

裕一は納豆を買ってきた。
食卓に座り、納豆を開けた。

裕一「あ~いいにおいだな~」
  「納豆 いいにおいだな~」
  「う~ん!」

音「臭っ」

音は席を立って、自分の食事を台所で食べる。

裕一「は~あ」
  「いいにおい」 
  
裕一「納豆はいいにおい」
  「はあ~!」 
  
裕一「納豆~! う~ん!」
  「うわ~! ああ~!」
 
裕一「はあ…納豆から!」 
  「100回ネバネバしたら もっともっとうまくなんだよな~!」

●喫茶店「バンブー」

恵「まだ仲直りしてないの?」

裕一「もう強情で」
  「やんなりますよ」

保「でも楽しかったんでしょ?」
 「カフェー」

裕一「いやいや…」 
  「そんなことはない」

保「しかし 納豆攻撃って」
 「なかなかやるね」

裕一「こっちはね」
  「結婚以来 八丁みそ攻撃 食らってますからね」

保「嫌なら嫌って言えばいいのに」

裕一「いや…嫌ってことはないですけど」
  
裕一「毎日っていうのは さすがにきついですよ」

恵「八丁みそか…」
 
恵「はあ…。みそまんじゅう」
 「よく届けに行ったな…網走に」

保「あ あ…」

裕一「あ…網走?」

恵「最後の面会なんて『俺のことはもう忘れてくれ』って」
 
恵「鉄格子の向こうで涙してたな~」

保「初めて聞いた」

裕一「へえ~」

恵「ねえ でも音さん やきもちなんて かわいいじゃない」
 
恵「裕一さんは音さんのこと 心配にならないの?」

裕一「うん?」

恵「べっぴんだし」
 「言い寄ってくる男 いるかもよ」

裕一「いやいや…ないないない」
  
裕一「あっ ごちそうさま」
  
裕一「帰って仕事します」

保「そうそう 切り替えてね」
 「頑張って」

裕一「どうも」

保「網走は寒いの?」

恵「八丁みそか~」

保「うん?」

音 謎の男はプリンス久志だった

●東京帝國音楽学校・レッスン室

音がピアノを叩いて、発声練習をしている。

音「あ~あ~あ~あ~あ~あ~あ~あ~あ~あ~」
「あ~あ~あ~あ~あ~」
「あ~あ~あ~あ~あ~あ~」
「あ~あ~あ~あ~あ~」

(ため息)

久志「ため息なんて 似合わないな」
  
久志「姿勢を直したら声が通るようになったね」

音「プリンス…」

(回想)

久志「体を開いて視線を少し上げてごらん」

(回想おわり)

音「謎の男?」

音は以前、池のほとりで歌の練習をしていたときの謎の男を思い出した。

久志「はあ?」

音「あっ…」

久志「伸びる人ほど 助言を素直に受け入れる」
  
久志「君は見込みがある」

音「ありがとうございます」

久志「僕でよければ相談に乗るよ」

裕一 久志との再会

●喫茶店「バンブー」

音「こんには」

音が久志とはいって来る。

保「いらっしゃい…」

音「私 ミルクティーで」

久志「僕も同じもので」

保「かしこまりました~」
 
保「いいのか? 男と2人って」

恵「ああ…いいわ~」
 
恵「大した度胸だわ」

恵「ごゆっくり」

2人「ありがとうございます」

音「千鶴子さんの歌を聴いた時は衝撃を受けました」
 
音「同い年にこんな人がいるなんて」

(回想)

千鶴子と久志の歌

(回想おわり)

久志「確かに彼女の技巧はとても優れてると思う」
  「幼い頃から最高の環境で教育を受けてきた人だからね」

恵と保はカウンターから、音と久志の会話を遠目で見ながら、
会話を想像する。

恵『駄目よ 私には夫がある身』

保『分かってる。でも止められない。音さん 愛してる』

恵『もっと早くに出会いたかったわ。伝吉さん』

保「伝吉さんって誰?」

音「悔しいけど…」 
 
音「私が千鶴子さんに追いつくなんて…」

久志「追いつかなくて いいんじゃないかな?」
  
久志「それよりも 自分だけのサムシングを見つけるんだ」

音「サムシング?」

久志「そう…サムシング」

恵「あ~あ あんな見つめ合っちゃって」

保「こんなことが裕一君に知れたら…」

(ドラが開く音)

裕一がまた入って来た。

2人「ええっ!?」
 
恵「何で戻ってくるの?」
 
恵「早く行って」
 「止めて」

裕一「あっ 忘れてた」

保「どうしたの?」
 「裕一君」

保は裕一が振り返らないように抱き留めた。

裕一「いや帽子忘れちゃって」

恵「えい!」

恵はお盆で裕一の視線を遮った。

裕一「えっ 何…」
  「何…?」
  
裕一「ちょ…帰る…」

保「何でもない」
 「何でもない…」

恵「ああっ!」

裕一「帰るって!」
  
裕一「うん?」

裕一はテーブル席の久志と音に気が付く。

久志は裕一を暫し見つめる。

音「裕一さん…」

久志「ユウイチ…」
  「古山…裕一?」

久志は席を立って裕一のところにやってくる。

裕一「うん?」

久志「古山?」
  
久志「いや 僕だよ…」
  
久志「佐藤久志」

(回想)

久志「存在感はあるのに気配を消すのは得意なんだ」

(回想おわり)

裕一「ああっ…久志!」
  「久志!」

  
裕一「えっ!?」

久志「アハハハ!」

裕一と久志は抱き合って肩をたたきあった。

<ナレーション>

この再会がやがて 裕一の運命を大きく変えていくのです。

裕一「アハハハハ!」
  「うわ~ うれしいな!」

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