エール第34話の無料動画と見逃し放送配信情報! 音の義務と行動力

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裕一は久志と再会する。

久志は、裕一がレコード会社の専属作曲家になっていると聞いて、自分の目は正しかったと話をした。

そして、未だ曲が採用されないという裕一に「いつか必ず道は開ける」と久志は言う。

さらに半年が過ぎて、廿日市は、来期の契約金は今期の半額の1700円と言い出した。

それを聞いた音は、「私にはあなたの音楽家としての価値を守る義務があるの」と、コロンブスレコードに乗り込む。

裕一をコロンブスレコードに推薦したのは小山田耕三先生だと聞き、
それを逆手に、前年同様に3500円で交渉を成立させる。

久志は、その話を聞いて、今度は自分の為に、その行動力を生かしたらと話をした。

●カフェ「パピヨン」入口

裕一「本当に?」
  「いや…えっ?」

<ナレーション>

木枯とカフェーに行ったことで裕一と音は大げんか。

●古山家・居間

裕一「あっ!」

音「女!」
 「カフェーでやる必要はないでしょ!?」

裕一「君がそんな わからず屋だったとは お…思わなかった!」

●喫茶店「バンブー」

久志「古山?」
  
久志「いや 僕だよ…」
  「佐藤久志」

<ナレーション>

そんな中 裕一は思わぬ形で久志と再会するのです。

裕一「えっ!?」
  「久しぶり!」

タイトルロール

●古山家・居間

久志「まさか こんな形で君と再会するとはね」

裕一「本当にびっくりだよ」

音「どうぞ」

久志「ありがとう」

音は裕一の湯飲み茶わんは無造作に置く。
  
久志「いい器だ」
  「すてきだ」

裕一は咳払いをする。

久志「あっ…誤解のないよう言っとくけど」
  「音さんと会っていたのは あくまでも相談に乗ってただけだ」

  
久志「ただ単純に 純粋に先輩として彼女に何か助言ができたらと」

裕一「ふ~ん」

音「そうよ」
 「変な勘違いしないでよね」
 
音「あなたとは違うんだから」

裕一「まだ そんなこと言ってんの?」

久志「ちょっと どうしたの?」
  「けんか中?」
  
久志「ちょ…いや…」
  
久志「ねえ」
  「僕に免じて 仲直りしてよ」

裕一「意地…意地張ってごめんね」

音「いいよ」

久志「フフッ」
  「そう それでいいの」
  
久志「夫婦は仲よくしなくちゃ」
  
久志「レコード会社の専属作曲家か」
  「やっぱり僕の目は正しかったな」

音「えっ?」

久志「5年生の時に作曲してくる宿題が出てね」

(回想)

裕一「曲作るなんて で…できないよね」

久志「西洋音楽聴いているなら作曲は簡単だ」
  「やってみたらいい」

裕一「で…でも…」

久志「できるよ」
  「きっと」

(回想おわり)

久志「彼が作った曲は先生に絶賛されて 学校でも一躍有名人になった」

音「へえ~」

久志「つまり あの時 僕が背中を押したからこそ今の君がある」

裕一「フフフ…」
  「久志 変わんないな」

久志「仕事の方はどうだい?」
  「忙しいのか?」

裕一「曲は毎日書いてっけど なかなかうまくいかないよ」

久志「まあ 焦ることないさ」
  
久志「君は選ばれし者なんだ」
  「いつか必ず道は開ける」
  
久志「音さんだって そう思うでしょ?」

音「はい」

久志「僕も応援する」

久志は手を差し出し、裕一と握手をする。

裕一「ありがとう」
  
裕一「早く認めてもらえっといいんだけどね」

久志「うん」

<ナレーション>

でも その機会は一向に訪れる気配がなく…。

●コロンブスレコード・文藝部

裕一「えっ…」

<ナレーション>

それから半年が過ぎても 道は閉ざされたままで。

そればかりか 更なる試練が待ち受けていました。

裕一は廿日市とともに文藝部室にはいる。

裕一「失礼します」

廿日市「来期の契約料…」

裕一「はい」

廿日市「1700円でいいかな?」

裕一「1700…」
  
裕一「い…今の半額ですか?」

廿日市「初年度の契約金3500円」
   「あれ 印税の前払い金」
   「知ってるよね?」

裕一「は…はい…」

廿日市「君はさ~この一年 レコード一枚も出せてないわけよ」
   「本来 会社はその金 返せって言える権利あるのよね」
  
廿日市「っていうか 普通 クビだよ」

裕一「はい…」

●古山家・玄関

裕一「ただいま」

音「お帰りなさ~い!」

裕一「うん?」

音は裕一からカバンを受け取り、
裕一の帽子を自分がかぶる。

裕一「何…どうしたの?」

音は裕一を仕事部屋に連れていく。

音「フフッ」

裕一「うん?」
  「何?」

音「ほほほ…」

裕一「うん?」
  「うん?」

●古山家・洋間

音「はい どうぞ」

裕一「うん?」
  「な…何これ?」

音「何だと思う?」

裕一「いや 分かんない」
  「えっ?」

音「ジャ~ン!」

音はかぶせてあった布を取った。

裕一「ち…蓄音機!?」

音「そう!」
 「裕一さん 欲しいって言っとったでしょう」

裕一「い…ああ」
  「ああ… うんうん!」

音「音楽の仕事に必要なものだし 裕一さんの気分も上がるかなと思って」
 
音「…で せっかくだから奮発して」
 「最新型にしました」

裕一「ふ…奮発…奮発?」

<ナレーション>

今のお金にすると さ…30万円ぐらいです。

音「うん?」

音はクラシックのレコードをかけるが
伝票を見て、裕一はびっくり、困った顔をする。

(回想)

廿日市「来季の契約料…」

裕一「はい」

廿日市「1700円でいいかな?」
   
廿日市「2年目も契約続けるなんて」
   「これ すっごい温情だと思わない?」

裕一「まあ…」
  
裕一「いや でも あの…」

廿日市「そろそろ利益出してよ~」
   
廿日市「そのための専属作曲家でしょ?」 

(回想おわり)

裕一は寝室で寝つけずに頭を抱えていた。

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エール第34話の見どころ・感想

古山裕一のモデルとなった古関裕而とはどんな人?

ミュージカル俳優が大勢出演!

前回のお話はこちら

エールNHK公式サイトはこちら

音の義務

●翌朝食卓

裕一「頂きます」

音「頂きます」

裕一「音」

音「うん?」

裕一「昨日ね…」
  
裕一「会社で あの契約の話されて…」

音「うん?」

裕一「えっ?」
  「うん?」
  
裕一「えっ? ああっ…蓄音機」
 
裕一「あれ いいね」
  「すごくいいよ」
  
裕一「ありがとね」

音「よかった!」
 「やっぱり うちで音楽が聴けるっていいよね」

裕一「いいよね!」
  「うん」

音「そうだ…」
 「この際だから 頑張って 新しくピアノも買う?」

裕一「ピ… いや ピアノ!?」
  
裕一「いやいや大丈夫…それは大丈夫だよ」
  
裕一「それは大丈夫だから」
  「うん」

音「どうしたの?」

裕一「えっ?」
  「うん?」

音「裕一さん 変」

裕一「そ…そんなことないよ」
  
裕一「魚の干物」
  「これ 大きいね」

音「普通のアジの干物だけど」

裕一「いや…いつもより大きいよ」
  「うん」
  
裕一は干物を指さして言う。

裕一「これ ちょっと ぜいたくすぎるな」
  「うん」

音「ぜいたくかな~?」

裕一「うん ぜいたくだね!」
  「大きいもん」
  
裕一「うん…大きい 大きい…」

音「本当 どうしたの?」

裕一「音…」
  「ら…来年から…」
  「契約が…」

裕一はモグモグと小声で言う。

音「うん?」

裕一「ら…来年から…」
  「契約金が減らされっことになりそうです」

音「えっ…どういうこと!?」

裕一「きょ…去年の3500円から今年は1700円になりそうです」

音「はあ!?」

裕一「いや…本当にごめん!」

音「何 考えとるの!?」

裕一「ほ…本当に…」
  「本当にごめんなさい!」

裕一は席を代え、土下座をする。

音「何で裕一さんが謝っとるの?」

裕一「だって これもひとえに 僕がふがいないせいだから!」

音「違うよ!」 

裕一「えっ?」

音「私は会社に怒っとるの」
 
音「半額なんて冗談じゃない」
 
音「その話 まだ承諾しとらんよね?」

裕一「正式な契約は…」
  「ま…まだだけど…」

音「よし…今から行ってくる」

裕一「ちょちょ…音」
 
裕一「音! が…学校は?」

音「こういう時はすぐ動く!」
 「こっちの本気を見せなくちゃ」

裕一「音 音 音…」
  「ねっ 音」
  
裕一「ひとまず落ち着いて」
  「ごはん食べよう」

音「裕一さん」
 
音「私にはあなたの音楽家としての価値を守る義務があるの」

裕一「はい…」

音「行ってきます!」

裕一「ちょ…音…音~!」
  「音~!」

音は裕一を振り捨てて出ていく。

音 コロンブスレコードに乗り込む

●コロンブスレコード・第一スタヂオ

音「失礼いたします」

杉山「何ですか?」

音「廿日市さん」
 「少々 お時間よろしいでしょうか?」

廿日市「よろしいでしょうかって」
   「そんな急に来られましても…」

小山田「こちらは?」

音「私 専属「作曲家としてお世話になっております古山裕一の家内でございます」

小山田「古山…」

廿日市「奥さん…」
   「小山田先生 申し訳ございません」

小山田「いや~構わんよ」
   「帰るところだからね」
   
小山田「じゃあ また明日」

廿日市「あっ よろしくお願いします」
   「今日はお疲れさまでした」
   
廿日市「あ~そこまで お見送りいたしましょう」
 
秘書の杉山に言う。
 
廿日市「お見送り…」

●コロンブスレコード・廊下

杉山「大変失礼いたしました!」

小山田はスタヂオの方を振り返る。

●コロンブスレコード・第一スタヂオ

音「なぜ 契約金の減額なんて話になるんでしょう?」

廿日市「立派な賞を取ろうがどうしようが 
  庶民が喜ぶ音楽を作れなきゃプロとして失格なんですよ!」
 
   
廿日市「うちの会社が出してるレコードが赤レーベルと青レーベルに分かれてることはご存じですよね?」 

廿日市「赤レーベルは流行歌。青レーベルは西洋音楽」
   
廿日市「古山君は赤レーベルの作曲家です」
   「この赤レーベルは居酒屋のおじさんたちに聴かせる音楽なんです」

   
廿日市「彼はそこんところが分かってないんじゃないかな~?」

音「どういうことでしょう?」

廿日市「余計なことをするんですよ」
  
廿日市「普通に盛り上がるメロディーを作ればいいんです」
   
廿日市「それを西洋音楽のこざかしい知識をひけらかし 音楽を台無しにしている!」 
  
廿日市「そういうところが鼻につくんです!」

音「分かりました!」

音「その点につきましてはご要望にお応えできるようにします」
 
音「ですから…」

廿日市「やっぱり 向いてないんじゃないかな~?」

廿日市「小山田先生はどうして彼なんかを推薦したんだろう?」

音「小山田先生って…もしかして 先ほどの?」

廿日市「去年の夏 奥さんが売り込みに来たじゃないですか」
   「そのあと 小山田先生から突然言われたんです」

(回想)

小山田「君のところでな 契約してほしいんだよ」

(回想おわり)

音「でもなぜ 小山田先生が?」

廿日市「こっちが聞きたいですよ」
   
廿日市「というわけで 契約金の件は了承して下さい」
   
廿日市「もういいですか?」

音「ということは」
 「つまり…」
 「廿日市さんは小山田先生を 随分と 軽く見ていらっしゃるってことですよね?」

廿日市「はあ!?」

音「だって そうじゃないですか」
 「先生のご紹介で専属契約した主人を こんなぞんざいに扱うなんて」

廿日市「いやいや ぞんざいって…」

音「そうだ」
 「いっそ 先生に直接お願いした方が 話は早いかもしれませんね」

 
音「私 お話ししてきます」
 「まだお近くにいらっしゃいますよね?」

廿日市「ちょちょ…」
  「ちょっと待った!」

●古山家・居間

音「というわけで」 
 「無事 去年と同じ3500円で交渉成立しました」

裕一「お…お…音!」
  「す…すごいな!」

音「だけど 今回ははっきり言われちゃった」

音「契約金は前払い金だから レコードが売れんかったら返済しろって」

裕一「借金が増えたってことだよね?」

音「そうとも言うよね」

裕一「うん…」
  「だね」

音「大丈夫!」
 「なんとかなるよ!」

裕一「うん…」
  「だといいんだけど」

音「あのね…」

音「今日 小山田先生に会った」

裕一「えっ えっ」 
  「えっ!?…」
  「うそ!」

音「裕一さんが専属契約できたのは 私の売り込みじゃなくて」 
 「小山田先生の推薦のおかげだったみたい」

裕一「推薦?」
  「えっ? ぼ…僕を?」

  
裕一「だって ぼ…僕 先生に会ったこともないよ」

音「裕一さんが国際作曲コンクールで入賞したこと 先生 ご存じだったんじゃないかな?」 
 
音「それで 将来有望な若者がいるって思ってくれたんじゃない?」

裕一「せ…先生が…僕を?」

音 行動力を自分の為にも使ってみる?

●東京帝國音楽学校・廊下

久志「へえ…あの巨匠に目をかけてもらったのか」

音「見てくれとる人は ちゃんと見てくれとるんですね」

久志「でも 音さんもすごいな」
  
久志「会社に直談判しに行くなんて」
  
久志「大した行動力だよ」

音「じっとしとれんタチで」

久志「その行動力 自分のためにも使ってみたら?」 

音「えっ?」

久志「鷹ノ塚記念公演の選考会 募集始まるみたいだよ」

『「椿姫」出演者募集の張り紙 募集期限 昭和六年九月)』

音は張り紙を見る。

●コロンブスレコード・作曲家ルーム

裕一が作曲家ルームに入ってきた。

作曲家A「やっぱり そうですよ…」

作曲家B「ああ…」
   
作曲家B「貫禄あるよな…」

作曲家A「ええ」

裕一「小山田先生…」

裕一と小山田先生の目があった。

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