世界で最も有名な名画の1つであるエドヴァルド・ムンクの代表作『叫び』が現在
東京都美術館で見ることができます。
東京都美術館で開催されている「ムンク展―共鳴する魂の叫び」では、代表作『叫び』の他に『思春期』『不安』『星月夜』などが展示され、ムンクの油彩画や版画など約100点にも及ぶ作品を楽しめます。
世界で最も有名な絵師の1人、エドヴァルド・ムンクの
- 代表作品
- 『叫び』の解説
- ムンクの作品を見ることができる美術館
をご紹介いたします。
これを読めばエドヴァルド・ムンクの代表作や『叫び』の意味、ムンクの作品の見れる美術館を知ることができますよ。
#ムンク展 の #展覧会チラシ を過去に紹介しましたが、今日は最新版を。バックが白くなり、爽やかになりました~!ロゴは金色で現物は光っています。このデザイン「最叫」?それとも前のグレーバックや黒バックの方が良い?? #さけびクン 寝ないで解説して…。
※チラシは東京都美術館ほかで配布中 pic.twitter.com/phPHQyFgOr— さけびクン@ムンク展 (@munch2018) 2018年6月19日
ムンクの叫び以外の代表作品を解説
By エドヴァルド・ムンク – WebMuseum at ibiblio
Page: http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/munch/
Image URL: http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/munch/munch.scream.jpg, パブリック・ドメイン, Link
エドヴァルド・ムンクの代表作品といえば、『叫び』です。
誰しもが一度は見たことがあると思います。
なかには真似した人もいるのではないでしょうか。
『叫び』以外のも、ムンクは数多くの作品を残しており、ここでは『叫び』以外の作品をご紹介いたします。
ムンクの代表作品①:『星月夜』J・ポール・ゲティー美術館蔵
By エドヴァルド・ムンク – Google Art Project: pic, パブリック・ドメイン, Link
この作品はムンクが1893年に描いた作品で『叫び』と同時期に描かれました。
現在はJ・ポール・ゲティー美術館に保管されています。
同時期に活躍していたゴッホが同じタイトルである『星月夜-糸杉と村-』を4年前に残しています。
ゴッホの『星月夜-糸杉と村-』は
- 渦となる星々の光が美しく表現されている
- 大胆な夜空の描写
に対し、ムンクの『星月夜』は
- 月の明るさなどは描かれていない
- 静寂な夜の風景
が描かれています。
このような違いから、4年前にゴッホは描いた『星月夜-糸杉と村-』に影響され、ムンクが『星月夜』を描いたとはいえません。
同時期に描いた『叫び』は不安や迷い、不気味な精神状態を感じますが、この作品においても、そのようなムンクの精神状態が表れているように思えます。
この作品の30年後にあたる1923年にムンクは再び『星月夜』を描きました。
若い頃に描いていた作品から読み取れるような不安や不気味な精神状態は読み取れず、幻想的な美しい作品となっています。
ムンクの代表作品②:『不安』ムンク美術館蔵
By エドヴァルド・ムンク – Google Art Project: pic, パブリック・ドメイン, Link
この作品は『叫び』の翌年、1894年に描かれた作品です。
カール・ヨハン通りの桟橋を歩く人々が描かれ、彼らは不安な表情をしています。
また後方にはノルウェーの湾であるオスロ・フィヨルドが描かれ『叫び』と同様に、薄暗い色彩によって不安や絶望といった感情が強調されています。
『叫び』と同様に
- ヨハン通りの桟橋
- オスロ・フィヨルド
- 湾に浮かぶ2隻の舟
- 教会
が描かれていることから『叫び』と『不安』は類似作品とされています。
ムンクの代表作品③:『思春期』オスロ国立美術館蔵
By エドヴァルド・ムンク – http://samling.nasjonalmuseet.no/no/object/NG.M.00807 Nasjonalmuseet / Lathion, Jacques, パブリック・ドメイン, Link
この作品は1894から95年に描かれた作品とされています。
ムンクは当時、人妻のエリーという女性と交際をしていました。
しかし、性的な接触を恐れていたムンクはその憂鬱を、子供から大人への過渡期である描かれた少女に反映させたとされています。
作品に描かれる裸体の少女は
- 結核によって15歳で亡くなったムンクの姉・ソフィーエ
- または、ムンク自身
とされています。
ムンクの代表作品④:『愛と痛み(吸血鬼)』ムンク美術館蔵
By エドヴァルド・ムンク – Google Art Project: pic, パブリック・ドメイン, Link
この作品は1895年に描かれました。
一般的に『吸血鬼』と呼ばれてますが、『吸血鬼』というタイトルはムンクが付けたものではなく、ムンクの友人であった象徴主義の批評家・スタニスワフ・プシビシェフスキが付けたものとされています。
長い髪の女性が男性の首にキスをしている様子が描かれています。
しかし、女性は男性を上から抑え込み、首に噛みついているように見えることから『吸血鬼』と呼ばれました。
これに対し、ムンクはただ女性と男性が抱き合い、キスをしている姿を描いただけで、吸血鬼を描いたわけではないと主張しています。
ムンクの代表作品⑤:『煙草を持つ自画像』オスロ国立美術館蔵
By エドヴァルド・ムンク – http://samling.nasjonalmuseet.no/no/object/NG.M.00470 Nasjonalmuseet / Høstland, Børre, パブリック・ドメイン, Link
この作品は1895年に描かれた自画像です。
当時32歳のムンク自身を描いたとされています。
ムンクの代表作品⑥:『嫉妬』
ムンクは「嫉妬」というテーマの作品を1895年から1930年まで描き続けました。
その「嫉妬」シリーズは11作品を超えているとされています。
1895年に油彩で描かれた『嫉妬』が「嫉妬」シリーズの中でも最も有名な作品とされ、アダムとイヴをテーマにし、ムンクの友人で詩人の友人をモデルにし顎鬚の男性を描いたとされています。
ムンクの叫びの意味と感想。本当は叫んでない?
ムンクの中でも最も有名な作品『叫び』をご紹介いたします。
この作品は1893年に油彩で描かれた作品で、現在はオスロ国立美術館に所蔵されています。
『叫び』は1893年に油彩で描かれた他、
- 同年1893年にパステルで描いた『叫び』
- 1895年にリトグラフで描いた『叫び』
- 1895年にパステルで描いた『叫び』
- 1910年にテンペラで描いた『叫び』
があり、同じタイトル、同じ構図を描いた『叫び』は5点残されています。
よく目にする『叫び』は1893年に油彩で描かれた『叫び』です。
この作品を描いた1893年、ムンクは30歳であったとされています。
ムンクはこれまでの生涯
- 1868年に母を亡くす
- 1877年には姉が亡くなる
などの不運に見舞われ、愛する人を亡くし、それらがもたらす不安をテーマに「フリーズ・オブ・ライフ(生命のフリーズ)」と称した作品群を描きました。
その中の作品である『叫び』には
- 赤く染まったノルウェーの湾であるオスロ・フィヨルドの夕景
- 赤く染まった空に対比して暗い背景
それらを背景にヨハン通りの桟橋で耳を塞ぎ叫ぶ人物が描かれています。
この絵はムンクが感じた幻覚を表したものとされ、その時の日記には
「私は2人の友人と歩道を歩いていた。太陽は沈みかけていた。突然、空が血の赤色に変わった。私は立ち止まり、酷い疲れを感じて柵に寄り掛かった。それは炎の舌と血とが青黒いフィヨルドと町並みに被さるようであった。友人は歩き続けたが、私はそこに立ち尽くしたまま不安に震え、戦っていた。そして私は、自然を貫く果てしない叫びを聴いた。」
と体験した幻覚を残しています。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%AB%E3%81%B3_(%E3%82%A8%E3%83%89%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%A0%E3%83%B3%E3%82%AF)
つまり『叫び』で耳を塞ぎ叫んでいる人物は実際に声を発し叫んでいるのではなく、「自然を貫く果てしない叫び」であり、描かれている人物はそんな「自然を貫く果てしない叫び」に恐れを感じ耳を塞いでいるということになります。
少し難しいですが、単に幻覚や幻聴を表していただけではなく、幼少期に母、思春期に姉を亡くしたムンクが、人の死は自然に逆らうことはできないといった無力さを『叫び』に表現しているようにも思えます。
まとめ ムンクの作品を常設展で見れる美術館は?
ムンクの『叫び』は「ムンク展―共鳴する魂の叫び」で見ることができます。
ムンクの『叫び』はこの展示会において待望の日本初公開となっており、日本でムンクの作品を常設展で見ることのできる美術館はありませんので、非常に貴重な機会となっています。
今回はムンクの『叫び』、また『叫び』以外の代表作品のご紹介でした。
簡単にまとめると
- 東京都美術館で「ムンク展―共鳴する魂の叫び」が開催
- 日本初来日となる『叫び』が公開
- 『叫び』は同じタイトル、同じ構図で5点描かれている
ムンクの作品は、不安や迷い、恐怖といった感情が読み取れます。
実際ムンクは、幻聴や幻覚を『叫び』に、性的な憂鬱を『思春期』と感情を作品に反映させています。
ムンクの作品を見るにあたって、ムンクの生涯なども知っておくと、東京都美術館で開催されている「ムンク展―共鳴する魂の叫び」をより楽しく見ることができます。
以上「ムンクの叫び以外の代表作品、絵が怖いけど本当は叫んでない?」のご紹介でした。
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