エール第31話の無料動画と見逃し放送配信情報! 裕一・音の新婚生活

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昭和六年、裕一と音との新婚生活がスタートした。

裕一は、コロンブスレコードの専属作曲家として仕事を始めるが、ディレクターの廿日市から
21曲連続不採用、同期の作曲家、木枯正人は19曲連続不採用の駄目出しを受ける。

音は、昭和六年度東京帝國音楽学校の入学式を迎える。

●古山家・寝室

裕一「う~ん?」

裕一が目が覚めると、音の布団はすでにたたまれていた。

●古山家・台所

裕一は台所に行く。

裕一「おはよう」

音「あっ おはよう」
 「裕一さん」

裕一「あ~うまそう~」

音「えっと…」
 「おみそは…」

裕一「うん? おみそ?」
  
裕一「あっ これかな?」

音「あっ そうそう」
 「ありがとう」

裕一「何のみそ?」

音「八丁みそ」

裕一「は…八丁みそ…」
 
裕一「へえ~」

音「ちょっと待っとってね~」
 「すぐ出来るから」

裕一「うん」

音「えっ」
 「何~?」

裕一「何でもないって」

<ナレーション>

新婚生活が始まりました。今日も音さんは最高にすてきです。

タイトルロール

●古山家・居間

裕一「頂きます」

音「頂きます」

裕一は味噌汁の中を覗いた。
 
音「どうしたの?」

裕一「うん?」
  「ああ…いや」
  
裕一「あれ…あれ?」

味噌汁の中に具がはいっていなかった。
  
裕一「うん?」
  「し…汁だけなの?」
  「これ」

音「具が入っとったら おみその風味を味わえんでしょ?」

裕一「あ~そっか」
  
裕一「あれだね」
  「あの…八丁みそって」
  「あの こ…個性的だね」

音「もしかして 白みその方がよかった?」

裕一「ううん」 
  「ううん…」
  「八丁みそ おいしいよ」

  
裕一「うん!」
  「ちくわもおいしい!」

音「品数少なくてごめんね」
 「お料理 もっと勉強するから」

裕一「ううん!」 
  「僕 あの ごはんと納豆あれば もう十分だから」

音「納豆?」

裕一「えっ?」 
  
裕一「あっ…納豆」 
  「駄目?」

音「でも 裕一さんが好きなら」 
 「今度買っとく」

裕一「うん!」 
  「あ…ありがとう」

音は裕一の頬についていたご飯粒を手でつまんで食べた。
  
裕一「あ~」
  「ご…ごめん」

音「ねえ 裕一さん」

裕一「うん?」

音「これから 何て呼べばいい?」

裕一「いや…」 
  
裕一「う~ん…」
  「ぼ…僕は何でもいいけど…」

音「私のことは 音でいいよ」
 
音「呼んでみて」

裕一「えっ?」 
  「今?」

音「早く」

裕一「お…音」

音「キャ~!」

音は大声をあげて畳に寝転んだ。
 
音「な~に?」 
 「あなた」

裕一も寝転んだ。

(笑い声)

音「もう一回」

●コロンブスレコード

<ナレーション>

コロンブスレコード。裕一がこの秋から専属作曲家として働くことになったレコード会社です。

廿日市「お~!」

裕一「あっ 廿日市さん!」
  
裕一「今日からお世話になります」

廿日市「おはよう」
   「もう一人 来てるはずなんだけどな~」
   
廿日市「あっ!」
   「彼が君と同期の作曲家 木枯君だ」

木枯「どうも」

裕一「どうも」

廿日市「じゃあ 行こうか」

裕一「はい」

●コロンブスレコード・第一スタヂオ

廿日市「じゃあ 中 見てくるからここで待ってて」

裕一「はい」
  
裕一「あっ…木枯さんって本名ですか?」

木枯「うん」

裕一「小説の主人公みたいですね」

木枯「フフフ…」

裕一「いや…」

木枯「君の名前は?」

裕一「あっ…こ…古山裕一です」
  「よろしくお願いします」

廿日市が出てきた。

廿日市「はい ここが録音室ね」

裕一と木枯も中にはいった。

<ナレーション>

コロンブスレコードには西洋音楽を扱う青レーベルと 流行歌を扱う赤レーベルがあります。

裕一が契約したのは赤レーベル。この赤レーベルの売り上げが会社の主な収益です。

廿日市「あの人も もともと西洋音楽の声楽家だったんだよ」

女性がレコーディングをしていた。

裕一「はあ~」

廿日市「君も頑張ってね」

裕一「はい!」

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エール第31話の見どころ・感想

古山裕一のモデルとなった古関裕而とはどんな人?

ミュージカル俳優が大勢出演!

前回のお話はこちら

エールNHK公式サイトはこちら

四角い部屋を三角に掃く?

吟が裕一と音の家にやってきた。

●古山家・玄関

音「はい」

吟「フフッ どうも」
 「アハハハ!」 

音「お姉ちゃ~ん!」

吟「音~!」

音と吟は玄関先で抱き合った。

●古山家・居間

吟「どう? 新婚生活は」
 
吟「ちゃんと家事やっとるの?」

音「なんとか」
 「学校まで あと半年あるから それまでに全部覚えるつもり」
 
音「どうぞ」

吟「ふ~ん」
 
吟「でも結構きれいにしとるじゃん」
 「あんたのことだから もっとわやくちゃになっとるかと思っとったけど」

音は台所でお湯を沸かす準備をしている。

音「あっ」
 「掃除はね 裕一さんがやってくれとるの」

吟「ええっ!?」 
 「それ あんたの掃除が雑だからじゃないの?」
 
吟「四角いところを丸どころか三角に掃く人だもんね」

音「そんなことないよ!」 
 
音「お姉ちゃんはお鏑木さんと順調?」

吟「うん…まあね」
 
吟「あ~私も早く落ち着きたいわ!」

音「結婚っていいよ」
 
音「楽しいよ」

吟「幸せそうだもんね」

音「うん 幸せ!」 
 
音「フフフ…」

吟「何か…腹立つわ」 
 「その顔!」 

吟は音の頬を両手でつまんだ。

音「んっ」 

音も吟の頬を両手でつまんだ。

音・吟「んん…」
   「んん~!」 

●コロンブスレコード・作曲家ルーム

廿日市「作曲家の皆さんの部屋はここね」
   「自由に使ってくれていいから」

廿日市「あっ。 そうそう」
   
廿日市「古山君」
   「いきなりで申し訳ないんだが」
   「この歌詞に曲つけてくれないか」

裕一「はい」

裕一は廿日市から渡された歌詞を見る。

裕一「えっ」

裕一は廿日市を呼び止める。

裕一「ちょっ。ちょっ。 ちょっと」

裕一「あのこれ」
  「『ちょい ちょい』って」
  「これどっ・・どっ・・どういう意味ですか?」

廿日市「知らないよ」
   「僕が作ったんじゃないんだもん」

廿日市「じゃ 頑張って」

廿日市「いい曲つけてね」

廿日市が出ていこうとすると、誰かがやってきた。

廿日市「あっ」
   「牛島先生」
   「どうも どうも どうも」

牛島「あっ 廿日市君」
  「また 行こうよ みんな」

廿日市「あ~ いいですね」
   「お供させていただいて」

木枯も詞を見る。

木枯「なんだ 『ちょい ちょい』って」
 
裕一「ねえ~。意味わかんないね」
  「だって二番のところ 『ポイ ポイ』 だよ」

牛島の付き人「おい 新入り」
      「そこ 牛島先生の席だろが」

木枯はギターを弾き始める。

木枯「そんな話 聞いてねぇけど・・」

牛島の付き人「あ~っ」

裕一「いや あっ」
  「いや。 あ~っ」
  
裕一「ど・。どきます」
  「すみません」

裕一「木枯君 木枯君」
  「行こう。 向こう」
  「行こう。行こう」
  「行こう。行こう」

木枯「うん」
  「何だよ。何」

裕一「行こう。向こう。向こう」
  「空いてるし」

裕一「行こう。 行こう」

木枯「言われてないよ」

裕一「ま~。ま~。ま~っ」
  「ねっ。ねえ。ねっ」

木枯「え~。どれどれ」

木枯はギターで作曲を始める。

牛島の付き人が文句を言おうとこちらに来ようとしていた。

裕一はそちらに愛想を向ける。

木枯「私~。ちょい。ちょい~。ちょい。ちょい~」
  「ちょい ちょい 愛してる」

裕一「いや」

木枯「いいんじゃないの。このメロディ」

木枯「ちょい。ちょい~。ちょい。ちょい~」
  「ちょい ちょい 愛してる」

裕一「うん。うん」
  「うん」

木枯「悪くないね」
  「悪くないねぇ」

裕一「うん。うん。う~ん」

●古山家・玄関

裕一「ただいま」
  
裕一「あ~疲れた」

音「お帰りなさ~い!」
 「お疲れさま」

裕一「ありがとう」

音「ごはん もうすぐ出来るけど」
 「ごはんにする?」
 「お風呂にする?」

裕一「お風呂にすっかな?」
  
裕一「あ~ありがとう」

●古山家・居間

音「へえ~その木枯さんって方 面白いわね」

裕一「いや もう…こっち」
  「ヒヤヒヤしたよ」

音「あっ!」
 
音「牛島ゆたかって聞いたことある」
 「『海の喫茶店』の作曲家でしょう?」

裕一「あっ そうなんだ」
  
裕一「う~ん」
  「流行歌のことも勉強しないとな~」
  
裕一「うん おいしい!」

音「裕一さんは裕一さんの音楽を作ればいいじゃない」

裕一「うん?」

音「西洋音楽の素養があるって強みだと思う」
 
音「裕一さんにしか書けん曲を書いてほしいな」

裕一「そうだね…」
  
裕一「頑張るよ」
  
裕一「うん!」

音「うん」
 「おいしい?」

裕一「とってもおいしい」

音「フフフ」

●古山家・仕事部屋

裕一は仕事部屋で作曲をしている。

裕一「んふふふ。 ふふん。ふふん」
  「んっ…」

裕一「んふふふ。 ふふん。ふふん」
  「んっ…」

裕一「わたし ちょいちょい」「愛してるったら」
  
裕一「わたし ちょいちょい 愛してるったら」

(ノック)

音「コンコン」
 「音です」

裕一「はい」

裕一「ちょいちょい 愛してるったら」

音「どう?」
 「いいの 書けそう?」

裕一「う~ん…」
  「どうかな~?」

音「お夜食作ったから」
 「一段落したら食べてね」

裕一「うん!」
  
裕一「ありがとう」

音「じゃあ 頑張ってね」

裕一「うん!」
  
裕一「ちょうど小腹すいてた」

音「うん」
 
音「よかった」

裕一「ありがとう!」

裕一は、音が持ってきた夜食を見る。
  
裕一「えっ?」
  
裕一「フフフ…」
  「また八丁みそ?」

新人作曲家 曲が採用されず

●コロンブスレコード・第一レコーディング室

廿日市が裕一が作曲した譜面を見ている。

廿日市「う~ん…」
   
廿日市「これじゃ駄目だな」

裕一「えっ?」
  
裕一「いやいや」
  「あのあの ど…どこが駄目なんでしょう?」

廿日市「駄目だよな?」

廿日市は秘書の杉山に聞いた。

杉山「はい」

裕一「えっ?」

廿日市「やり直して」

裕一「はい…」

裕一は作曲家室で書き直している。

事務所の廿日市に見せた。

裕一「こんな具合で…いかがでしょう?」

廿日市「ちょっと違うかな~」

裕一は作曲家室で書き直している。

廿日市「う~ん…違うね」

裕一「ち…違う…」

捨てた譜面の紙屑とゴミ箱の映像。

廿日市「没」
   「もう一回」

裕一「ぐ…具体的には ど…どこが…?」

廿日市「それを考えるのが 君の仕事」

廿日市「これじゃ駄目だな」
   「書き直して」

<ナレーション>

その後も裕一の曲は全く採用されませんでした。

(半年後)

●古山家・台所

裕一「音 おはよう」

音「おはよう!」

裕一「ねえ みそ なくなりそうって言ってたよね?」
  
裕一「たまたまなんだけどね 白みそもあって…」

音「あ~!」
 「もうこんな時間」
 「急がんと」

裕一「いよいよだね」
  「が…頑張って」

音「ありがとう」
 「裕一さんも今日は曲の提出日だったよね」

裕一「今日はね いけそうな気する!」

音「いける いける」
 「今度こそ絶対採用されるよ!」

裕一「ありがとう」

音「は~い!」

裕一「頑張って」

印税の前払い金

●コロンブスレコード・作曲家ルーム

裕一「ま~た駄目だった…」
  「21曲 連続不採用」

木枯「こっちも19曲連続」
  
木枯「これ まずいわ」

裕一「まずいね~」

木枯「しかも そっちは所帯持ちだもんな」
  
木枯「金はどうすんの?」

裕一「まあ…契約金はいっぱい残ってっから」
  「当面は」

木枯「はあ?」
  
木枯「あの契約金 印税の前払い金だぞ」

裕一「どういうこと?」

木枯「レコード売れるのが前提の前払い金」
  「まあ つまり自分の金じゃないってこと」
  「まあ 借金みたいなもんだ」

裕一「しゃ… しゃ」
  「しゃ…借金!?」

木枯「売れなかったら 全額返さなきゃいけない」
  
木枯「もし返済請求されたら 家族養えなくなるぞ」

●昭和六年度 東京帝國音楽学校入学式

桜が舞う中、音は正門をくぐる。

●コロンブスレコード・作曲家ルーム

裕一は足を抱えて、ソファに座っている。

裕一「うそだろ~…」

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