もし松永久秀が大河ドラマの主役になったら超面白い…三好長慶との関係は?

あなたは松永久秀という人物をご存知ですか?

また、松永久秀についてどのようなイメージを持っていますか?

一般的に知られている松永久秀は「主家の乗っ取り」「将軍の暗殺」「大仏を焼いた」といったイメージがあり、あの織田信長を2度も裏切り、最期は茶器と一緒に爆死するという悪者として描かれ、「戦国三大梟雄(きょうゆう、残忍で荒々しい)」の一人に数えられています。

※戦国三大梟雄・・・松永久秀、斎藤道三、北条早雲または宇喜多直家の3人

今回は松永久秀について

  • 松永久秀が大河ドラマの主役になれる!面白エピソード
  • 松永久秀と三好長慶との関係は?

をご紹介します。

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松永久秀が大河ドラマの主役になれる!面白エピソード

悪者として描かれている松永久秀ですが、近年の研究では悪者説を批判している研究者もいます。

まず、松永久秀が悪者として描かれるようになった理由は、江戸時代の儒学書・湯浅常山(1708~1781年)が記した逸話集『常山紀談』にあります。

この逸話集の一つに織田信長が徳川家康に対して松永久秀を紹介した場面が次のように書かれています。

「この久秀は、普通の人間にはとても出来ないことを三つもやってのけた男だ。一つは将軍足利義輝を暗殺し、一つは主君の三好家を滅亡へ追い込み、一つは東大寺の大仏の首をとろけさせたことだ」

 

これが松永久秀が悪者になった原因でしょう。

こんな悪者のイメージがある松永久秀が大河ドラマの主役となるのは難しいでしょう。

今回は近年の研究によって出てきた新事実をもとに、新しい松永久秀を紹介します。

~松永久秀は将軍・足利義輝を暗殺していない~

永禄8年(1565年)5月、松永久秀にとって人生を左右する大事件が起こります。

その事件というのが「永禄の変」と呼ばれる将軍・足利義輝の暗殺事件です。

足利義輝 Wikipediaより

永禄の変が起こる以前、畿内(京都・奈良・大阪)は三好長慶が実権を握る、いわゆる三好政権がしかれていて、将軍・足利義輝は三好長慶の操り人形でした。

ただ、三好長慶は室町幕府を滅ぼそうとはせず、長慶と義輝の両者は互いに協調していました。

しかし、1564年に三好長慶が急死すると状況が一変します。

三好長慶の後を継いだのは養子の三好義継でしたが、義継はまだ16歳であったため松永久秀や三好三人衆が補佐するようになります。

ところが、足利義輝とは上手くいかず、実権を握りたいと思っていた三好方は将軍を暗殺してしまいます。

そして、この事件の首謀者として疑われたのが松永久秀です。

しかし、松永久秀はこの事件の時には大和国にいたことから、直接的には関係していませんでした。

※永禄の変を起こしたのは三好三人衆と松永久通(久秀の嫡男)

また、足利義輝の弟で後に15代将軍となる足利義昭に対しては、松永久秀は「義昭様の命は取るつもりはない」という誓詞を出しています。

この状況から松永久秀は足利義輝の暗殺には関わっていないことがわかります。

ただ、足利義昭を将軍にして操り人形にしようとしていたことは考えられます。

~主家・三好家を乗っ取ろうとはしなかった~

松永久秀が悪者として描かれている理由の中に、主家であった三好家を乗っ取り実権を握ったことが原因としてあげられます。

しかし、これも近年の研究では否定されています。

1564年に主君であった三好長慶が亡くなると、先程も書いたように松永久秀と三好三人衆が三好義継を補佐するようになりました。

これを見ても松永久秀が三好家を乗っ取り実権を握ろうとしたことは考えにくく、逆に若い三好義継を支えたことは主家への忠誠を誓ったものであったのでしょう。

また、三好長慶唯一の実子で嫡男であった三好義興が長慶より早世した際には、松永久秀は悲しみ、三好三人衆の岩成友通には三好家に忠誠を誓う旨の書状を送っています。

これらから、松永久秀は「忠義の人」とも捉えられてもいいでしょう。

~東大寺を焼いたのは松永久秀ではなかった~

松永久秀を悪者にした原因として、東大寺の奈良大仏を燃やしたことも上げられます。

銅造盧舎那仏坐像(通称・奈良大仏) Wikipedia

仏教国である日本において、寺や仏を焼くという行為は当然のように罰が当たると考えられています。

織田信長が「魔王(仏敵)」と呼ばれている理由は比叡山延暦寺を焼き討ちしたことが原因です。

奈良大仏は天平17年(745年)に第45代天皇・聖武天皇の命によって制作が開始され、天平勝宝4年(752年)に開眼供養会(魂入れの儀式)が行われます。

奈良大仏は現在に至るまで2回ほど焼失してしまいます。

1回目が治承4年(1180年)の平重衡(平清盛の5男)によるもので、2回目が永禄10年(1567年)の松永久秀によるもです。

三好長慶と足利義輝の死後、三好政権内では松永久秀と三好三人衆の間で主導権争いが起こってしまいます。

そして、永禄10年(1567年)4月から同年10月まで半年間にも及ぶ東大寺大仏殿の戦いが起こります。

この戦いで松永軍が東大寺付近に陣地を構えていた三人衆軍を奇襲した際に火が東大寺に燃え移り大仏が燃えてしまいました。

しかし、この東大寺の焼失は松永久秀によるものではないという史料が残っています。

宣教師ルイス・フロイスの『日本史』には次のように書かれています。

 

「多聞山城(松永軍が籠城)を包囲した軍勢(三人衆軍)の大部分は東大寺に布陣した。その中には我らの同僚がいたのだが、その同僚が夜分に寺に火を放った。すると火はたちまち燃え上がり、門と鐘を残して全焼した。」

 

ここで注目する部分は「我らの同僚」であり、ルイス・フロイスが同僚と言っていることから、キリスト教徒であろうという推測がなされています。

つまり、松永軍が三人衆軍を奇襲する前に大仏はすでに燃えていたということになり、大仏の焼失に「宗教説」が追加されたということになります。

ただ、この根拠を示すものがないため、現在でも議論が続いています。

~文化人としての松永久秀と「クリスマス休戦」~

悪者としてイメージがある松永久秀ですが、実際の松永久秀は文化人でもありました。

まず、松永久秀は茶人として有名です。

松永久秀は堺の茶人・武野紹鴎(たけのじょうおう)を師匠にもち、茶道の道を究めていました。

戦国時代の有名な「平蜘蛛茶釜(ひらぐもちゃがま)」「九十九髪茄子(つくもかみなす)」といった茶器をもっていました。

とくに、「平蜘蛛茶釜」は松永久秀が織田信長に侵攻された際に、信長の手に渡らないようにした久秀によって打ち壊されました(または爆薬で破壊)。

次に、松永久秀はキリスト教に対して寛容でした。

前にも書いたように、松永久秀が三好三人衆と争った際にキリスト教徒が大仏を燃やしたと書きましたが、戦国時代には西日本を中心にキリスト教が広まり信者がいました。

あの織田信長もキリスト教を日本に広めようとしていました。

しかし、もともと日本の宗教であった仏教や神道の信者たちと争ったりもしていました。

そんな中、松永久秀が三好三人衆と戦っていた時にクリスマスを使って一時的に休戦したというエピソードが残っています。

ルイス・フロイスの著書『日本史』には

「足利義昭を奉じて上洛した織田信長と京の実権を握っていた松永久秀がクリスマスの日に一時休戦」

と書かれた一説があります。

ただ、この時、松永久秀は三好三人衆の前に劣勢に立たされていたことから、クリスマスを使って休戦し時間稼ぎをしたともいわれています。

松永久秀と三好長慶との関係は?

松永久秀と三好長慶は家臣と主君の関係になります。

三好長慶 Wikipediaより

まず2人の生年を見てみると

  • 松永久秀が永正5年(1508年)
  • 三好長慶が大永2年(1522年)

と松永久秀の方が14歳上でした。

松永久秀の若い頃ははっきりしておらず、史料での初見は天文9年(1540年)と言われ、この時の年は32歳でした。

この頃、松永久秀は管領・細川晴元の被官(目上の人に仕えている者)で18歳の三好長慶の書記として仕えていました。

松永久秀が頭角を現した時期は、三好長慶が細川晴元を追い出し三好政権を成立させた頃からです。

三好長慶が将軍・足利義輝や管領・細川氏綱と実権を握る争いをしていた際には、政治面・外交面で活躍し、天文22年(1553年)に三好長慶が畿内を平定すると摂津滝山城主に任ぜられます。

これ以降、松永久秀は三好長慶に忠誠を誓い、長慶が亡くなったあとは後を継いだ三好義継を支えました。

これを見ても、松永久秀が悪者というイメージはなくなるでしょう。

まとめ 松永久秀の小説や映画はある?

ここまで松永久秀について紹介してきました。

まとめてみると

  • 松永久秀は将軍を殺していなかった
  • 松永久秀は主家を乗っ取ろうとはしなかった
  • 松永久秀は忠義を重んじる人物だった
  • 松永久秀は文化人でもあった

松永久秀を主役にする場合、通説通りに数々の悪行を描くか、または、敵対していた織田信長などを松永久秀以上に悪く描くかになります。

また、松永久秀の悪者のイメージを無くして、いい人にしてしまうと、視聴者からの期待を裏切る大河ドラマになってしまいそうです。

さらに、脚本や演出をするのも大変そうです。

2020年の大河ドラマは日本史で一番有名な反逆者・明智光秀を主役とする『麒麟が来る』です。

松永久秀は、吉田鋼太郎さんが演じています。


<松永久秀>(吉田鋼太郎)「麒麟がくる」より

>>「麒麟がくる」(放送済回まで)を見る

もしかしたら、今まで悪役になっていた人物が大河ドラマの主役になる日は近いのかもしれません。

そうなれば、松永久秀も主役になれる時が来るかもしれませんね。

松永久秀に関する小説

・花村萬月『弾正星』(小学館文庫 2018年)

弾正星 (小学館文庫)

・黒部亨 『松永弾正久秀』(PHP研究所 1996年)

松永弾正久秀

・戸部新十郎『松永弾正』(読売新聞社 1998年)

松永弾正〈上〉 

松永弾正〈下〉

松永久秀が登場する映画はありませんが、2014年の大河ドラマ『軍師官兵衛』では松永久秀が茶器と一緒に爆破したシーンが描かれています。

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